髪の手入れをしているときに抜け毛が多くなっている場合、季節の変わり目が関係している可能性が高いです。
ただし1日の抜け毛が約50本〜100本を超えてくる場合は、脱毛のリスクがあります。
もちろん本数だけで判断するものではないので、抜け毛に悩まされる方のなかには「髪と季節の関係性がよくわからない」という意見もあるでしょう。
そこで、抜け毛と季節の関係から抜ける原因、予防・対策法まで詳しく解説します。
健康な髪を維持する方法を理解できるので、ぜひ参考にご覧ください。
抜け毛が多くなる季節は?
結論からいうと、抜け毛の量は季節の変わり目に多くなります。
また、季節によっても抜け毛の量は異なるため、通常よりも抜けていると感じやすいです。
こちらでは抜け毛と季節の関係について説明するので、脱毛が心配な方はチェックしておいてください。
季節の変わり目に多くなる
人間の髪は1日約50本〜100本ほど抜けますが、季節の変わり目には約200本〜300本抜けることもあります。
とくに夏から秋に季節が変わるときは、暑さによる疲労や紫外線ダメージが蓄積されることによって抜け毛が増加するといわれています。
紫外線は頭皮にダメージを与えるので、毛髪の主成分であるタンパク質の生成を阻害することで抜け毛の原因となるのです。
季節の変わり目は寒暖差が激しいため、心身ともにバランスが乱れがちです。
そのため季節の変わり目に抜け毛の量が増えたときは、体調管理を徹底するように心がけましょう。
人間の換毛期は秋
抜け毛が最も多くなる季節は秋です。
秋は髪の毛が生え変わる季節なので、古い毛が大量に抜けやすくなっています。
はじめは多くの抜け毛が心配になると思いますが、それはヘアサイクルが正常な証拠です。
また、前述でも説明したように夏に受けたダメージの蓄積や寒暖差の変化も抜け毛が増える原因となっています。
動物の換毛期は3月と11月なので、人間も同じく抜け毛が増えやすくなります。
秋に抜け毛が2倍〜3倍になるのは自然現象のため、深く心配しないようにしましょう。
春・夏・冬で抜け毛が増える可能性も
秋は最も抜け毛が増える時期ですが、ほかの季節も抜け毛が増える可能性はあります。
例えば春は進学や就職、転職などが多いシーズンなので、生活環境の変化からストレスによって自律神経が乱れやすくなります。
また、夏は気温の高さから頭皮がムレやすくなり、大量の皮脂や汗が発生しやすいです。
そして冬は寒さによって血行不良となりやすく、頭皮が乾燥してしまいがちです。
このように秋以外の季節であっても抜け毛が増えるリスクは多いため、日頃からきちんとヘアケアをするようにしましょう。
抜け毛が増える原因となるヘアサイクル
抜け毛が増えるときは、季節だけでなくヘアサイクルも関係しています。
ヘアサイクルとは、髪の毛が生え変わる周期のことです。
ヘアサイクルには「成長期」、「退行期」、「休止期」の3種類があり、段階によって役割が異なります。
それぞれ各周期に関する詳細を説明するので、ぜひ参考にご覧ください。
成長初期~成長期
成長期は、新しい毛が伸びる時期です。
成長期には「成長初期」、「成長中期」、「成長後期」の3つがあり、それぞれ以下のような違いがあります。
- 成長初期:毛根の毛母細胞が細胞分裂し、毛の成長がはじまる時期
- 成長中期:髪の毛が成長している時期
- 成長後期:毛が成長して皮膚表面に出てくる時期
髪の毛の約9割が成長期となっており、約2年〜6年にかけて成長します。
健康な髪であるほど成長期の時期は長くなるので、生活習慣の改善やストレス解消などをおこなうことが大切です。
退行期
退行期は、毛の成長が終わって自然と抜け落ちるまでの時期です。
毛母細胞の分裂によって毛の成長が終わり、徐々に毛根が小さくなることで抜け落ちていきます。
髪の毛の約1%が退行期となっているため、全体的な割合でいうと少ないです。
休止期
休止期は、毛が抜け落ちて新しく成長がはじまるまでの時期です。
洗髪やブラッシングをするときに抜け落ちる髪の毛は、休止期を終えた古い毛となっています。
休止期の髪はあくまで休止をしている時期なので、毛を作る組織が機能しなくなったわけではありません。
髪の毛の約1割が休止期となっており、約3ヶ月〜半年にかけて抜け落ちていきます。
髪の毛の健康状態が悪いと休止期の割合が増えるため、正しいヘアサイクルへ戻すように改善しましょう。
季節以外で抜け毛が増える原因
季節以外で抜け毛が増える原因として、以下の6点が挙げられます。
- 遺伝や体質
- 生活習慣やストレス
- 加齢
- ヘアケアやヘアスタイル
- 産後
- 脱毛症
それでは詳しく説明していきます。
遺伝や体質
両親からの遺伝や生まれつきの体質によって、抜け毛が増えることもあります。
とくに男性はAGA(男性ホルモン型脱毛症)という症状が起きやすく、年齢を重ねるにつれて薄毛が進行していきます。
AGAは成人以降に発症しやすいといわれており、生え際や前頭部、頭頂部の毛が薄くなります。
AGAの発症にも両親からの遺伝が関係しており、母親から受け継がれる遺伝子情報によって薄毛になる可能性が高いです。
遺伝によって必ずしもAGAが発症するわけではありませんが、抜け毛が増える原因の1つとして理解しておきましょう。
AGAについて詳しく知りたい方は、以下の参考記事をご覧ください。
生活習慣やストレス
生活習慣の乱れやストレスも抜け毛が増える原因の1つです。
日頃から不摂生な食生活や睡眠不足などを続けていると、頭皮や髪に悪影響を及ぼします。
また、喫煙や飲酒の量が多いことも生活習慣の乱れにつながります。
そして精神的なストレスが増えると交感神経が刺激され、頭皮の血管を収縮させて血行を悪くさせてしまうのです。
結果的に10円玉程度の脱毛斑ができる「円形脱毛症」という症状になることもあります。
抜け毛の量を増やさないようにするには、生活習慣を改善してストレスフリーな環境作りをしましょう。
加齢
加齢によって抜け毛の量が増えることもあります。
年齢を重ねると頭皮が硬くなっていくので、血行が悪化して髪の毛の成長が遅くなります。
また、加齢が進行すると全身の代謝も低下するため、頭皮に十分な栄養が届きづらくなって抜け毛が増えます。
加齢は男女ともに自然と起きる問題なので、抜け毛を増やしたくないときは健康に気を配ることが大切です。
ヘアケアやヘアスタイル
間違ったヘアケアや負担のかかるヘアスタイルを続けていると、抜け毛が増える原因となります。
例えば自分に合っていないシャンプーやコンディショナーを使っている場合、頭皮環境を悪化させてしまいます。
また髪の洗い方や乾かし方が間違っていると、頭皮や髪にダメージを与えてしまうので注意が必要です。
そして髪を強く引っ張るヘアスタイルをしていると、男女ともに「牽引性脱毛症」になる可能性が高いです。
ヘアカラーやパーマを継続的に繰り返すと頭皮や髪が傷むため、同じく抜け毛が増える原因となっています。
そのため抜け毛を増やさないためにも正しいヘアケアを意識し、ヘアスタイルは髪の分け目を変えたり毛を下ろしたりしましょう。
産後
女性の場合、産後のホルモンバランスの乱れによって抜け毛が増えることもあります。
この症状を「分娩後脱毛症」といい、どんな女性にも起こりやすいです。
逆に妊娠中は女性ホルモンの分泌が多くなるので、全身の毛が濃くなる傾向にあります。
ホルモンバランスの乱れは一時的なものなので出産後には戻りますが、反動によって抜け毛が増えやすくなります。
ホルモンバランスが戻るにつれて抜け毛は少なくなっていくため、あまり心配にならないようにしましょう。
脱毛症
脱毛症が発症することによって、抜け毛が増えることもあります。
代表的な脱毛症として、以下の6つがあります。
脱毛症の種類 | 症状の特徴 |
---|---|
AGA(男性ホルモン型脱毛症) | 生え際や頭頂部が薄くなる男性特有の症状 |
FAGA(女性男性型脱毛症) | 全体的に髪が薄くなる女性特有の症状 |
円形脱毛症 | アレルギーやストレスによって10円玉の円形に髪が抜ける症状 |
皮膚疾患の脱毛症 | ヘアケア用品・カラー剤・パーマ液などのアレルギーによって毛が抜ける症状 |
ホルモン異常の脱毛症 | バセドウ病・甲状腺機能低下症などによって毛が抜ける症状 |
薬剤による脱毛症 | 抗がん剤治療薬・ステロイドなどによって毛が抜ける症状 |
ご覧の通り、脱毛症の種類はさまざまです。
人によって発症する脱毛症は異なるため、抜け毛が増えたことに悩んでいる方は医療クリニックへ相談することをおすすめします。
季節による抜け毛の予防と対策
季節によって抜け毛が増えるときは、以下のような予防と対策がおすすめです。
- シャンプーやドライヤーを適切に行う
- 頭皮マッサージをする
- ヘアオイルやローションで保湿する
- ストレスを溜めない
- 日々の食生活を見直す
- 長期の抜け毛は専門医に相談を
大切な髪を健康な状態で維持するためにも、1つずつ試していきましょう。
シャンプーやドライヤーを適切に行う
シャンプーやドライヤーを正しく使うことで、抜け毛が増えることを予防できます。
まずシャンプーを使うときは刺激が少ない製品を選び、保湿成分やアミノ酸系成分が含まれたものがおすすめです。
人によって髪質が異なるため、自分に合ったシャンプーを選ぶことが大切です。
次に髪を乾かすときは、一部にドライヤーを当てすぎないようにしてください。
ドライヤーの熱が強いと頭皮や髪にダメージを与えてしまうので、抜け毛が増える原因となります。
ドライヤーは上から下へと流すように乾かし、一定の距離感を維持するようにしましょう。
正しい方法で頭皮を清潔な状態に保つことができれば、抜け毛を予防して健康な髪を保つことができます。
頭皮マッサージをする
頭皮の血行を良くするためにも、日頃からマッサージをすることをおすすめします。
頭皮に振動圧刺激を与えると、毛乳頭細胞が活性化されて発毛促進につながります。
とくに入浴中は頭皮が緩んでいる状態なので、マッサージ効果が高いです。
頭皮マッサージをするときは指の腹を使い、少し痛気持ちいい程度に揉みほぐしてください。
長時間頭皮マッサージをすると痒みやフケなどの原因になるので、短時間だけおこなうようにしましょう。
ヘアオイルやローションで保湿する
頭皮や髪の毛が乾燥しがちなときは、ヘアオイルやローションを使って保湿しましょう。
秋や冬の季節は乾燥しやすいので、しっかりと保湿をして血行不良を防ぐことが大切です。
薬局やネットショッピングサイトでは、1,000円〜3,000円程度で髪の保湿アイテムを購入できます。
乾燥肌に悩まされる方は、抜け毛対策のためにも保湿を徹底するようにしましょう。
ストレスを溜めない
ストレスの蓄積は血行不良やホルモンバランスの乱れにつながるので、解消方法を考える必要があります。
季節の変わり目や環境の変化はストレスが溜まりやすいため、抜け毛が増える原因となります。
ストレスを解消したいときは、趣味を作ったり適度な運動をしたりすることがおすすめです。
例えばランニングや水泳など身体を動かせば、幸福感を得られるのでストレス発散になります。
頭皮や髪を健康な状態にするためにも、自分なりのストレス解消方法を考えておきましょう。
日々の食生活を見直す
季節による抜け毛を防ぐためには、日々の食生活を見直すことも大切です。
栄養の偏った食生活を続けていると頭皮や髪に必要な栄養素を供給できなくなり、抜け毛が増える原因となります。
髪の毛に良い栄養素や食べ物には、以下のようなものがあります。
栄養素 | 食べ物 |
---|---|
タンパク質 | 肉、魚、玉子、大豆 |
ビタミンA | ニンジン、ほうれん草、パプリカ、モロヘイヤ、レバー、大葉 |
ビタミンB群 | レバー、ごま、カツオ、ししとう |
ビタミンC | ブロッコリー、アセロラ、キウイ、豆苗 |
ビタミンE | アーモンド、ナッツ、落花生 |
ミネラル | 牛乳、ヨーグルト、海藻、納豆 |
亜鉛 | 豚レバー、牡蠣、切り干し大根 |
イソフラボン | 大豆全般 |
上記のような食べ物を食事に取り入れることで、抜け毛を予防して健康な髪の毛を生成できるようになります。
食事は日々の習慣なので、栄養素のある食べ物を取り入れるようにしましょう。
長期の抜け毛は専門医に相談を
これまで紹介した予防方法や対策をおこなっても抜け毛が多いときは、頭皮や髪に詳しい専門医に相談しましょう。
国内には抜け毛に特化した医療クリニックが多いので、症状に合わせて悩みを解決できます。
抜け毛は知り合いや友人に相談しづらい問題ですが、そのまま放置していると取り返しがつかなくなってしまいます。
抜け毛を解決するためにも、専門医に相談して改善していきましょう。
季節の抜け毛を感じたら早めに予防しましょう
今回は、抜け毛と季節の関係から抜ける原因、予防・対策法まで詳しく解説しました。
抜け毛は秋の季節に多くなる傾向にあり、ほかの季節でも増えることがあります。
ほかにもヘアサイクルの乱れや遺伝、生活習慣、加齢、間違ったヘアケア、産後、脱毛症なども抜け毛の原因として考えられます。
当記事で紹介した予防方法や対策で抜け毛を改善できないときは、専門医に相談するようにしましょう。